2024年1月20日 07時42分
「原告を応援する」と語る林さん(左)と吉永さん=さいたま市中央区で
前知事で参院議員の上田清司氏の公設秘書の男性(故人)から埼玉県内での取材中に性暴力を受けたとして、元記者の女性が国に損害賠償請求訴訟を起こし、現在も東京地裁で裁判が続いている。取材や報道の現場から性暴力をなくすためには何が求められるのか。この問題の構造的な背景を考えるシンポジウムが13日、さいたま市内で開かれた。(出田阿生)
国を訴えた元記者の女性を支援する「原告を支える会」と、性暴力根絶を目指す市民団体「フラワーデモ埼玉」が主催。東京大学大学院情報学環教授の林香里さん、労働問題に詳しい中野麻美弁護士、前新聞労連委員長でフリー記者の吉永磨美さんの3人が登壇した。
吉永さんは「2018年に財務事務次官による女性記者へのセクハラ問題が知られた後も、被害を受けて会社に相談したが『我慢しろ』『黙っていろ』と言われたという記者の声が次々と届いている」と紹介。「あちこちで同じことが起きるのは、構造的な問題だから。記者は市民の知る権利のために公務員が持つ職務上の情報を得る努力をするが、そこに上下関係が生まれてしまう」と話した。
ジャーナリズム・メディア研究者の林さんは在京キー局の役員110人中、女性が9人であること、女性記者の割合が2割強にとどまるという日本民間放送労働組合連合会(民放労連)などのデータを挙げて「日本では記者が会社員という組織ジャーナリズムが主流だが、メディアは男性中心で、大手企業に勤める年配男性が優位に立つ」と解説。「そのため男性の持つ特権に気付かず、公権力は男性権力とほぼ同義であることにも鈍感だ」とメディアが内包する問題点を指摘した。
中野さんは「公設秘書による記者への性暴力は、取材や報道の自由の侵害でもある。性暴力を根絶するべき立場にある政治家の存在意義が問われている」と解説。さらに「報道現場で働く人間が私生活を犠牲にしているようでは、他者の人権も大事にできるとは思えない。自己責任や過重労働を強いる現状や、経済格差や差別が横行する社会をわがこととして考え、変えていくことが必要だ」と訴えた。
<国会議員公設秘書による性暴力国家賠償訴訟> 訴状によると2020年3月、元記者の女性は公設秘書から「議員の政治動向の情報を提供する」と県内の飲食店に呼び出され、酒を飲まされた後に性暴力を受けた。女性は被害届を出し、県警は翌月書類送検したが、秘書が自死して不起訴処分に。個人の刑事責任が問えなくなったため、2023年3月、公務員である秘書の違法行為は国が賠償すべきであるとして提訴した。
引用元: ・国訴えた元記者の支援団体「フラワーデモ埼玉」らシンポ 報道現場の性暴力 背景は? #WithYou #MeToo [少考さん★]
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