1審・横浜地裁川崎支部は、記事について名誉毀損の成立を認めなかったものの、発言については15万円の支払いを命じた。しかし、2審・東京高裁は2023年10月、1審判決を取り消して、原告の請求をすべて棄却する「逆転判決」を言い渡した。
原告側は上告したものの、上告理由書を期限内に提出しなかったことで、2023年12月20日に上告却下となり、この裁判は終結した。
石橋記者はこれまで、神奈川県を中心に在日コリアンをはじめとするマイノリティの取材を続けてきた。
記事が偏っているという批判にすらも「ええ、偏っています」と胸を張って答えてきた石橋記者に「記者が訴えられること」について聞いた。(ライター・碓氷連太郎)
(略)
●両論併記は「リスク回避」のための卑怯な手口でしかない
――ヘイトデモの記事を書くようになったのは、いつごろからですか?
2013年ごろですが、最初は本当にひどいデモだと思いながらも、すぐに記事にできなくて。下手に手を出せば、面倒なことに巻き込まれると、おじけづいて腰が引けてしまった、情けない自分がいました。それが正面から書けるようになったのは、2015年11月にヘイトデモが桜本を襲撃したのがきっかけです。
当時中学1年生だった中根寧生さんが、市民団体の決起集会で涙ながらに「デモをなんとか止めさせてください。ヘイトデモを取り締まるルールがないなら、ルールを作ってください」と勇気を持って発言していました。それを見て「私たち大人は何をやっているんだ、子どもにこんなことを言わせるなんて」と思い、ましてや新聞記者ですから、きちんと報じていかなくてはと目が覚めました。
マイノリティの中学生が顔と名前を出して発言しているのに、ヘイトデモ参加者のことを「川崎市の50代男性」と、匿名で報じてきた自分が恥ずかしくなりました。ヘイトスピーチは犯罪ではないからと、客観・中立のような姿勢を取ってきた自分は、一体何を守りたかったのだろうかと思い知らされました。
本当に守るべき人を守るためには、どういう記事を書くべきかという覚悟を与えてもらったのが、この中根さんの言葉でした。
――「新聞なのだから両論併記しろ」とか「片方の主張ばかり取り上げるな」とか、そういう意見もありますよね。
そういうこと言う人は、権力と一体化することを良しとする人だと思います。そんなものに与する必要はないと思いますし、「慎重であらねばならない」とか「ヘイトも表現の自由だ」といった言葉は、責任から逃げるための屁理屈に過ぎないと思っています。
だから「両論併記しろ」というのは、リスク回避のための卑怯な手口でしかないと思っています。過去の自分もそうでしたから、よくわかります。でも、だからこそ「ヘイトスピーチはどっちもどっちではないし、その考えは間違っている」と言いたいです。
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弁護士ドットコムニュース編集部
https://news.yahoo.co.jp/articles/c248092949a3e518150cf6820d673c2280c38944
引用元: ・名誉毀損で訴えられた神奈川新聞記者「両論併記は『リスク回避』のための卑怯な手口でしかない」[1/21] [昆虫図鑑★]
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