■ 医師であり土木技師でもあった「哲学者」
12月は、平和を訴え続けアフガニスタンで多くの人々の命を救った中村哲医師の祥月である。
2019年12月4日、アフガニスタン東部のジャララバード市内で何者かに銃撃され死亡した。
【写真】2022年にジャララバード市内に開設された中村医師の偉業を称える“ナカムラ広場”。中村医師の大きな肖像が掲げられ、夜はライトアップされる。
偶像崇拝を禁じるタリバン政権のもとではきわめて例外的な扱いである
https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/78705?photo=5
中村哲医師は、35年の長きにわたり、アフガニスタンとパキスタンで医療活動を行い、干ばつ被害に苦しむ人々の命を救うため、無謀と言われた用水路建設に乗り出した。
戦乱がつづくなか、中村医師は現地住民の先頭に立って困難な土木工事に挑み、完成した用水路は、いま65万人もの人々の暮らしを支えている。
その生涯を振り返ると、偉業を成し遂げ得たうらには、中村医師の深い洞察にもとづく独特の哲学があったと思われる。
アフガニスタン現地でながく中村医師の片腕となって活動してきたジア医師は、中村医師をこう評する。
「すばらしい医師であり優秀な土木エンジニアでしたが、それ以上に哲学者でした」
中村医師は、今の日本と日本人についても独自の見方で鋭い指摘をしてきた。
一年を振り返る師走にあたり、中村医師の言葉をたどりつつ、これからの私たち日本人の生き方を考えてみたい。
■ 「日本人には人を思いやる心がある」は幻想なのか
先日、友人が定年で長年勤めた会社を退職し、ねぎらいの酒宴が開かれた。
その席で、同年輩の友人が「おれたちは逃げ切れるよな」と言うと、多くが笑いながら相槌を打った。
それを聞いて、ある週刊誌に「五十代は逃げ切り世代か」という特集が載っていたのを思い出した。
“逃げ切り”とは、社会保障の破綻など、近未来に予想される“国難”を自分は見なくてすむということだ。
この言葉には、「人生の目的は自分(だけ)が幸せになること」で、「死んだらオシマイ、生きているうちにせいぜい楽しもう」という利己的で刹那的な人生観が露骨に示されている。
わが亡き後に洪水は来たれ、である。
中村医師はずいぶん前から、自分のことしか考えない日本の風潮を嘆いていた。
「『自分の身は針でつつかれても飛び上がるが、他人の体は槍で突いても平気』という人々が急増している」*1
私も日本人の一人として耳が痛いが、実際に私たち日本人の他人への無関心、無配慮は、「エゴイスト」と批判されてもしかたのないところまで来ているようだ。
■ 国際的な調査が示す日本人の自己中心性
英国の慈善団体Charities Aid Foundationが公表する「世界寄付指数」(World Giving Index)では、過去一カ月に、
(1)見知らぬ人を助けたか、(2)慈善活動に寄付をしたか、(3)ボランティア活動をしたかの3項目の質問への回答をランク付けしている。(下記「グラフ1」〈2018年版〉を参照)
日本は(1)の人助けが142位、(2)の寄付が99位、(3)のボランティアが56位で総合順位は144カ国中128位。
グラフを見ると、上位を先進国が占め、下位にはいわゆる途上国が集中している。
裕福な人と食うや食わずの人では、他人を助ける行動に差が出るのは当然である。
となると、わが日本の128位という位置は異常に低い。
もちろん、先進国のなかでは断トツの最下位だ。
とくに、お金や特別の準備もいらない(1)の人助けの項目で下から3番目というのは恥ずかしいかぎりである
(編集部註・2023年の同ランキングでは日本は総合順位で142カ国中139位となっている)。
※続きはソースで
引用元: ・【日本人】中村哲医師が日本人を嘆いた理由、いまや世界屈指の「弱者に冷酷な国民性」 [ごまカンパチ★]
思いやった結果がテロリストによる銃殺なんて笑えない
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